*…読書中…* ●ジャック・ケルアック 『オン・ザ・ロード』 ※ケルアックでまずなによりすごいと思わされるのは、その鋭い語感である。たとえば、『オン・ザ・ロード』(On the Road)というタイトルひとつをとっても、じつにありふれた日常の言葉だが、よくぞ選んだりと感心させられる。まず浮かぶのは、長いこと邦題にもなっていた「路上」という日本語だが、本来は「旅行中」とか「巡業中」とか「家出中」とか「放浪している」とか「途上にある」という意味で使用されるふつうの熟語だから、この言葉を見ると、いきおい、いろいろな情景が頭に浮かんでくる。『オン・ザ・ロード』では「ロード」がいきなりタオの「道」になったりもする。そんなような豊かな意味をもつ単純な言葉をさっと拾い上げてきて、その言葉の向こうにある景色をぐっと広げてしまう芸が、この作家には天性のように具わっている。―青山南(本書解説より)
by schazzie
| 2008-04-06 02:35
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